畏敬会

お知らせ

国際学会 2017.11.30

World Congress of Neurology 国際学会見聞録 第11回

World Congress of Neurology (世界神経学会) / Kyoto(京都)
報告者:井野辺病院長、理学療法士 大戸元気、作業療法士 加藤貴志

2017年9月16-21日に京都で開催されました第23回世界神経学会 (World Congress of Neurology) に病院長井野邉純一と理学療法士の大戸、作業療法士の加藤、3人で参加・発表を致しました。

世界神経学会は、2年に1度世界の選ばれた都市で行われる神経に関する内容を中心とした学会です。どのような学会かというと、脳卒中をはじめパーキンソン病や多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症などの疾患から再生医療といった先進医療に至るまで、神経に関するありとあらゆる最新知見を報告・発表する学会です。前回はチリのサンチアゴで開催されています。

会場は京都の中心部から地下鉄で約20分のところにある京都国際会館でした。参加者は各国の神経内科医をはじめとした多数の医療従事者でした。最終的には121か国から8650名の参加があり、学会の規模の大きさが窺えました。

今回は京都で開催されることもあり、参加もかねて当院が行っている取り組みについて下記の2演題を発表いたしました。

加藤は脳卒中患者の運転能力を予測するために神経心理テストについて発表しました。近年、高齢者の自動車運転について注目されていますが、当院は自動車運転の可否について、簡単なものから難しい課題に至るまで様々な神経心理学テストを用いて判断をしています。今後も脳卒中患者の自動車運転再開に向けて、より精度が高い評価できる様に研究を重ねていきます。

大戸は「Brain Activation Analysis Using Near-Infrared Spectroscopy with Electrical Stimulation of Hip Muscles during Walking in Healthy Subjects : A Pilot Study」と題し、健常成人の歩行中の股関節の筋肉に電気刺激を行った際に、脳活動がどのような変化をするかについて発表しました。近年、脳の状態を可視化する技術(ニューロイメージング)が発展しており、当院ではfNIRSという、脳の血流を測定する機器を用いて脳活動の変化をとらえてリハビリテーションに生かせたらと考えております。本発表では、健常成人に対して歩行中の股関節の筋肉に電気刺激を行うと脳活動がどのように変化するのかをfNIRSで測定し、電気刺激により脳の一部分の血流量が増大するという結果を報告しました。実際の脳血流の変化を捉えたり、傾向をつかむことで、より質の高いリハビリテーションが提供できるように研究を重ねていきます。

本学会ではノーベル生理学・医学賞受賞者である京都大学iPS細胞研究所の山中教授の講演もあり、世界の最先端の知見に触れることで非常によい刺激になりました。今後も臨床の課題や自己の課題に今回の知見を生かしながら、日々研鑽していきたいと思います。