Asia Pacific Stroke Conference 2016 / Beijing
報告者:井野辺病院長、作業療法士 加藤、理学療法士 池田
2016年7月14~17日にオーストラリアのブリスベンで開催されましたアジア太平洋脳卒中学術大会(Asia Pacific Stroke Conference 2016)に病院長兼理事長である井野辺先生と作業療法士の加藤副部長、理学療法士の池田の3人で参加・発表を致しました。
ブリスベンはクイーンズランド州南東部に位置する州都であり、オーストラリアを四国で例えるならば、ちょうど徳島の位置にあります。 シドニー、メルボルンに次ぐオーストラリア第三の都市であり、人口が約100万人を優に超える移民の多い世界都市です。 市街はブリスベン川に沿って作られており、随所に自然が溢れた散策や自転車でのツーリングに適した街並みです。
発表の会場であるBrisbane Convention and Exhibition Centreはブリスベン都市中央部の川沿いにある近代的なビルで、アジア・オセアニアの各国の医師をはじめとした多数の医療従事者が参加していました。 当院からは下記の3演題を発表致しました。
病院長は「Dual muscle electrical stimulation improved upper limb paresis of patients with chronic stroke」と題し、当院とデンケン(電子機器システム開発)・県立看護科学大学で連携開発をしたDRIVEを用いた発表です。 慢性期の脳卒中片麻痺上肢にDRIVEの特長である2筋同時の電気刺激で改善した症例を海外に向けて発表されました。
加藤は「Predictable neuropsycological tests on driving ability for patients with brain disorders」と題し、当院の自動車運転リハビリにおける脳損傷者の運転能力の可否を神経心理学テストでの予測を可能とした発表です。 自動車運転は身体機能、感覚・認知機能、感情などのあらゆる情報を統合して行う高度な技能です。 本発表では当院での実車前運転評価として用いられる神経心理学テストの信頼性を高め、その特徴を活かしたリハビリテーションの展開が今後期待されます。
池田は「Effect of vibrator stimuli for patient with dyskinesia」と題し、服薬治療が主な四肢の不随意運動を呈するディスキネジアに対して、振動刺激を用いて症状が改善した症例を発表致しました。 本発表で難渋する問題に対して、新たなアプローチ方法を海外に提案することができ、同様の症状を呈する方の一助になれるという期待感を得ました。 新しい根拠に基づいた医療(Evidence-based medicine)を確立するには症例報告を通じて多くの方に着想して頂くことが大切です。 今回、海外で多くの方の目に触れ、地元のオーストラリア・台湾等のアジアの方々には質疑応答を行い、症例についての理解を深めて頂くことができました。 所謂、『隗より始めよ』が実践でき、私のセラピスト人生において、意義のある経験ができたと思います。
今後の目標は双方向にディスカッションができるように英語力を改善し、よりよい知見や広い視野を持って臨床の現場に臨み、研鑽していきたいと思います。